海外脱落組のお気楽物理学者
スポンサーサイト
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

フィンランドは西か東か?
2005年11月04日 (金) | 編集 |
かつて世界は、アメリカを中心とする民主主義国家とソ連を中心とする社会主義国家にわかれて「東西冷戦」なるものを繰り広げてきました。ヨーロッパも「西」と「東」に分かれて、東側は日本の社会の教科書では「鉄のカーテンの向こう側」と暗いイメージで教えられたのを覚えています。知っての通り、私の住んでいたチェコ(スロバキア)をはじめとして、東ドイツ、ポーランド、ハンガリーなどは東側(社会主義国家群)と呼ばれた国々です。

では、フィンランドはどうでしたっけ?

フィンランドは隣が思いっきりソ連でしたが、社会主義国家ではなく民主主義国家でした。ですが、少し歴史を調べてみると、隣にソ連がありながら、いかにフィンランドが民主主義を保持するのが大変だったか分かる気がします。大国に振り回された小国の悲劇と言いますか...。

実はフィンランドは第2次世界大戦の敗戦国で(ナチスドイツのせいもあって、半ば強制的な参戦だったようですが)、戦後はソ連を中心とする連合国の管理委員会がおかれ、その管理委員会のソ連代表ツダノフ大将に内政干渉されまくりだったみたいです(本来、その監視団に内政干渉する権利はもちろんなし)。多分クレムリンの意向としては、他の東ヨーロッパの国のように、共産党政権の樹立を目指したかったことでしょう。実際、フィンランド共産党は当時合法的に活動を許され、クレムリンの力を背景に共産党政権樹立を目指していました。しかし、戦後初の総選挙では、フィンランド共産党は25パーセント程度の議席しか獲得できず、結局その後は、共産党の力が増すことはなく共産党は政権をとることができませんでした。この辺の状況は、チェコとは大きく異なっていると思います。チェコは選挙によって初めて社会主義政権が成立した国として知られていますが、これはチェコ人同僚に言わせれば「クレムリンの差し金」とのこと。共産党員が貧乏人に「誰にでも平等に食べ物や家を与えてあげる」と甘言をふれ込み、”教育の行き届いていない人々”をそそのかして共産党政権を成立させたと言います(それこそ、同僚はこの話をすごいしかっめ面をして話していた)。

さて、フィンランドは共産党政権の樹立は免れましたが、相変わらず隣は社会主義の本拠地ソ連であるし、いつその脅威にさらされるかわかったもんではありません(世界大戦だけでなく、スウェーデンや帝政ロシアに占領されたり、ソ連からの独立戦争など幾つかの戦争経験があり、常に大国の脅威にさらされてきた)。だからフィンランドのとった政策は

「大国に逆らうと痛い目を見るので、逆らわないでできるだけ仲良くやっていく」

というもの。これが

フィンランド化

と言われる言葉の語源です。もうちょっと具体的には

「ソ連にはフィンランドの政治体制の自由を保障してもらう。その代わりに、第3国がソ連に攻めに入っちまった日には、俺たちの領土は使わせないし、おいらたちも一緒に戦うぜ」

というもの。フィンランドはこうしてソ連と西側国家の間に入る緩衝地帯になって、冷戦が終わるまではフィンランドはソ連を刺激しないように、西側には大きく寄ることはなかったようです。実際、EUに入ったのは冷戦終結後の1995年でした。

なので、かつてのフィンランドを西か東かとはっきり区別することはちょっと難しいかなという感じがします。限りなく東よりの民主主義国家といった感じでしょうか。

上記の背景を考えたとき、フィンランド化という言葉は悪いニュアンス、つまり

大国に取り入って自国の安全を守る

と解釈できますが(実際、英語の辞書などには「Finlandization」という言葉があり、悪いニュアンスが載っているようだ(自分の辞書にはなかった))、この政策は、戦後民主主義体制を守るためのフィンランドの”知恵”だったのかなあとも思えるのではないでしょうか?

と今日は少しフィンランドを褒めてみたりしてoowara.gif

でも、ソ連が嫌になって逃げてきたロシア人は、フィンランドで見つかるとロシアに強制送還されていたらしい...。これもフィンランド化の一面ってことで...naku.gif

少し真面目な話でしたが、クリックしてくれるとうれしいっす!
banner_02.gif人気ブログランキングへ
コメント
この記事へのコメント
そうだったんですか
フィンランドは西か東か私も疑問に思っていました。
このような経緯があって、東よりの民主国家を得たんですね。
小国の苦難がしのばれます。
短時間で理解できて、とても勉強になりました!
2005/11/04(金) 17:05:01 | URL | わにめっこ #-[ 編集]
なるほどです!
なるほどなるほど~
小説 プラハの春・ベルリンの秋で 東欧・東ドイツの
色々な動きは よく復習されたのですが、
北欧の動き・そうですよね、ソ連とあんなに近い
国々の動向、なるほど~と なってしまいました
(世界史できっと習ったのですが、抜けているに違いない;)
この記事、上を紹介した記事のところに紹介させて下さい。
2005/11/04(金) 20:06:00 | URL | go2rumania #-[ 編集]
■わにめっこさん、

そうですね。チェコにいたこともあって、こういう話って興味があったんですよ。フィンランドに来る前は、私は完全に西側国家と思い込んでいましたが、実際はそうではなかったですね。

■go2rumaniaさん、

あ、私もプラハの春、そしてベルリンの秋読みましたよ!あと、うそつきアーニャも読んだことあります。旧共産圏に住んでいたこともあって、その手の話し読むのが好きなんです。しかし、ベルリンの秋は東ドイツの戦後の歴史は面白かったですが、ハッピーエンドとは言えど、「娘かあ」という感が私はぬぐえなかったりします(笑)

TBありがとうございました!
2005/11/05(土) 06:11:54 | URL | まーらいおん #aIcUnOeo[ 編集]
似たようなところを知っています
限りなく東よりの民主主義国家、ですかぁ。
地面で接している「すぐお隣り」が…では、苦心しますよね。
でも自分たちの主権を守り通したことは、すばらしいことですよね。
似たような国で、ただし地面では接していなくて、「海」を挟んでいるのに、
そんな「遠いお隣りさん」に対して、いつまで~も縮こまっている
国もあるというのに、フィンランドはエライですね!
それにしても、あの国はいつまで周辺のお隣りさんに内政干渉
されまくる気なんでしょうね?
フィンランドが「限りなく東よりの【民主主義国家】なら、あの国は
「限りなく西よりに見せかけた【共産主義国家】」だと思うんですが。
2005/11/05(土) 14:46:50 | URL | ガナッシュ #3un.pJ2M[ 編集]
ガナッシュさん、

>それにしても、あの国はいつまで周辺のお隣りさんに
>内政干渉されまくる気なんでしょうね?

はい、全く同感です。K首相はまだいいと思いますが、どこぞの党首なんて、全面的に謝るとかいってやがりますからね。自分で外交問題を解決しない限り誰も助けてはくれんと思うんですけどね。フィンランドは、自分たちで何とかしたという点であの国よりはるかに偉いと思いますよ。

>フィンランドが「限りなく東よりの【民主主義国家】なら、
>あの国は「限りなく西よりに見せかけた【共産主義国家】」
>だと思うんですが。

これもそう思います。民主主義の名をかたった共産主義国家ってところでしょうか。ほんと、あの国は外交とかしっかりしてもらいたいと思いますよ。海外から見てそう思います。
2005/11/05(土) 14:58:34 | URL | まーらいおん #aIcUnOeo[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
♪Blog Ranking♪タイトルからドキドキしてしまった方・笑 :)今日はライフログに挙げている本とそれに絡む(?)コンサートのお知らせです。 『百年の預言』 上・下  朝日文庫   高樹 のぶ子 (著)朝日新聞の朝刊連載小説が単行本化されたもの ・・Amazonのレビュ
2005/11/04(金) 20:12:12 | ルーマニアへ行こう! Let's go to Roman...
父の命日だった11月5日、娘の初舞台だった。「あのころはフリードリヒがいた」の準主役の「フランツ」に自分から役を買って出た。家で見る娘と学校での娘はまるで違う事に非常に驚いた。私も13歳の頃に養護学校で劇をやり中々良いと評判だったが、娘の演技はとても子ど
2005/11/08(火) 19:54:50 | プールサイドの人魚姫
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。