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海外脱落組のお気楽物理学者
今日はセミナー
2005年05月24日 (火) | 編集 |

107_0724s.jpg今日は暑かった。22度くらいまでいきましたかね?緑も一気に芽吹いて1ヶ月前には想像できない世界になっています(これはキャンパス入り口の写真です)。


107_0725s.jpg大学へ続く林の中の道も緑に包まれて歩くと気持ちが良いです。


さてさて、毎週火曜日は研究所のセミナーです。外もしくは中の人が自分の仕事を発表して質疑応答する場です。こういったセミナーを通して人と知り合いになることもあるし、共同研究にも発展しうることがあるのでとても重要な場です。

今日のセミナーは素粒子実験の話でした。私の専門分野は今日のセミナーの題目と同じ「素粒子」ですが「実験」ではなく「理論」です。「理論」を専門にするとは、大雑把には実験を説明できるような理論は何かを探すことです。一方、実験はその名の通り、実験で得られたデータを解析して、理論との整合性をみたり、もっと技術的には実験施設の設備そのものを専門にしている人もいます。

私の分野はこれら「理論」「実験」の専門化がすすんでいて、理論の人は実験の話は全くわからなかったりします。なぜかというと、すべての「理論」の話が実験に関係しているわけではないからです。理論のあるものは数学への関連が深く、実験の事実とは全く関連がなかったりします。それはそれで数学として面白いですし、何より物理の言葉から数学に貢献できるので面白いと思っています。私の専門もそういうものです。ですので私の興味は限りなく理論寄りで実験の話はあまり得意ではないですが、実験に興味はあるので参加することにしています(一応、その手の話の論文は書いたことがあるので)。

それで、今日はその実験の話だったのですが、アメリカのフェルミ研究所にある D0 detector での jet 解析の手法についてでした(専門的ですいません。以下突っ走ります)。私が理解できた事は以下のようなこと。ハドロンコライダーはエネルギーは稼げますが、jet がわらわらと出るので目的の崩壊過程を解析するのが大変。んで目的の崩壊過程を同定するには適切な要求(横運動量へのバウンドとか)をして余計なバックグラウンドを排除したり、 そのためには jet の解析も必要である。それで、この研究では3つの jet 解析方法を用いて、それらを組み合わせて optimization して jet の解析の改良を試みた、という感じでだったと思う。割と印象的だったのは、最初に D0 のレビューとかしていたのですが、1995年にトップクォークが発見されて、2004年に(improveされて?)トップクォークの質量を(再?)発表していたこと。発見当初も 170 GeV とか言っていたと思うんですけど、データの解析がすすんで、systematic errorとか減ってとかいうことなんですかね?そういう質問のやり取りがありましたが、聞き取れなかった(爆)。今は 175±3 GeVぐらいとか言っていたかなあ。Cょうさん、間違っていたら教えて下さい~。

ちなみに今日のセミナーは随分と人が少なくて6,7人ぐらいでした。セミナーのオーガナイザーの人が「今日は人が少ない~」と悲しんでいました。明日もセミナーがあります。明日は Instanton と confinement、deconfinement の話です。


コメント
この記事へのコメント
トップクォークの質量は、現在178.0+/-4.3GeVとなっているようですね(LEP EW WGが使っている値)。ちなみに数年前は173.8+/-5.2GeVでしたから、エラーが相当減りましたね。
2005/05/25(水) 08:22:13 | URL | Cょう #-[ 編集]
Cょうさん、

訂正ありがとうございます。やっぱりエラーが相当減ったからというのが2004年にもう一度発表した理由なんですね。やっぱハドロンコライダーは解析が大変なんだ...。LHCも動き始めてから時間がかかりそうですね....。

2005/05/25(水) 15:05:31 | URL | まーらいおん #aIcUnOeo[ 編集]
えらー
いやー話は全然わかりませんでした。m(__)m

ところで、純粋に質問なんですが、170GeVに対して5.2GeVだった誤差が4.3GeVになったというのは素粒子の世界では「相当減った」ことになるのですか?
2005/05/25(水) 18:46:41 | URL | しの #NL852uQM[ 編集]
正直分かりませんが、トップクォークが生成されるイベント数が少ない上に、上で述べた jet の解析の正確性がいるので、エラーを減らすのは大変なんだと思います。トップは直に見えるわけじゃなくて他の粒子の崩壊して、その崩壊粒子がまたわらわらと余計なものに崩壊しそれらの束である jet を構成するので、崩壊元の top の質量を知るためにはそれら jet の運動量などをきちん知る必要があるのだと思います。そのきちんと知るというのが難しいのでしょう。といまのところ理解しています。

http://www.math.columbia.edu/~woit/blog/archives/000038.html

とか

http://www-ed.fnal.gov/samplers/hsphys/activities/top_quark_stud.html

を見てみてください(俺も見たw)。
2005/05/25(水) 20:12:20 | URL | まーらいおん #aIcUnOeo[ 編集]
門外漢ながらコメントしておきます。
素粒子物理の正確さというのは、すべての科学でも最高のものだと言えます。量子電磁力学での、結合定数に至っては、実験と理論が10何桁もの精度で一致しますが、おそらくここまで精度の高い科学は世の中に他には存在しないでしょう。ただ、ここで話題になっている、トップクォークの質量なんかは、上で述べてるような実験データも大変なことに加えて、うまく説明の出来る理論もまだあまり存在しないのが現状でしょう。
2005/05/26(木) 01:30:44 | URL | N氏 #-[ 編集]
Nさん、

コメントサンクス。LHCもハドロンコライダーですし、データのかの解析は更に大変そうですね。解析が進めばイベント数は多いですから、もう少しエラーはちいさくなるでしょうね。

2005/05/26(木) 04:03:45 | URL | まーらいおん #aIcUnOeo[ 編集]
補足させてください。
「エラーが相当減った」と書きましたが、エラーの絶対値もさることながら、トップの質量を決めることで間接的に求まるヒッグスの質量の範囲が「相当」狭まります。どのくらい「狭まった」のか、ずばり言えればかっこいいのですが、あいにく数字は手元にありません(プログラムを走らせば済むことですが)。

現状では、ヒッグス粒子質量の間接的測定の精度、基本的にはトップの質量、Wボソンの質量、QEDカップリング(@Zの質量)の3つをどれだけ正確に決めるか、で決まります。

このうち、トップとWボソンの質量は、ハドロンコライダーで行うので、すでに皆さんが述べられたように、精度を上げるのはなかなか大変。

QEDカップリングの方は、低エネルギー極限ではご存知の通り1/137ですが、Zボソンの質量スケール辺りでの値を決めるためには、純粋なQED過程に加えて、ハドロンが関与する過程の評価が必要なので、実験というより理論の精度を高める必要があります。

という事で、上でNさんもおっしゃっていたように、はQCDの定量的な理解が必要なのですねぇ。

てな感じで、先ごろの私の発言はトップ質量のエラーが減ることによる、ヒッグス質量の精度への影響を念頭においたものでした。説明不足ですいません。
2005/05/26(木) 08:41:54 | URL | Cょう #-[ 編集]
なるほどですね~
内容についてはなかなかわかりませんが、素粒子の雰囲気が感じられました。ありがとうございます。

まぁ「物性」の分野では、あまり考えない感覚ですね。誤差もひと桁小さくなるとか、せめて半分とかになれば「良くなった」というのですが・・・。同程度の値であれば、”consistentな結果だ”と報告することが多いので。(もちろんケースバイケースですが・・・)
2005/05/26(木) 11:34:23 | URL | しの #NL852uQM[ 編集]
■Cょうさん、

補足説明ありがとうございました。勉強になりました。これからもこの手の話題を出すことがあるかもしれませんが、その時また書き込んでもらえると勉強になります。

■しのさん、

そちらの物性の話は一緒にいたころ度々話をしてもらいましたね。ブログにもたまに書いてくださいな。

2005/05/26(木) 17:04:11 | URL | まーらいおん #aIcUnOeo[ 編集]
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