FC2ブログ
海外脱落組のお気楽物理学者
クトナーホラの戦い
2005年06月19日 (日) | 編集 |
クトナーホラとはチェコの地名である。ちなみにそこでタイトルのような戦いは歴史的に多分ない。なのになぜ戦いかというと、全く私的な感情からそう呼んでいるだけである。この話は私がチェコにいる時の1,2を争う笑い話である。
クトナホラーはプラハの東、電車で1時間ぐらい。世界遺産であるバルボラ大聖堂や塩鉱跡があり観光地としては有名である。私はここに2回行っているが、2回とも痛い失敗をしている。今日はその1回目の失敗についてのお話である

ある日、プラハから電車で友人T氏とクトナーホラに遊びに行こうという話しになり、私は早めに行って電車のチケットを窓口で買おうとした。覚えたてのチェコ語を使ってみたい私はチェコ語で駅員とやりとりしようと考えた。現に彼らは英語が達者ではない場合が多いので、その方がベターな場合が多い。

「俺も少しずつチェコ語わかってきたし、これぐらいはチェコ語でやらないとね」

この驕りがあとで痛い目を見る原因となるのだが。

ま:「クトナーホラまで1枚お願いします」
駅員:「え?なんですって?」

あれ?伝わらなかったかな?

ま:「クトナーホラです。」
駅員:「はい。えっとXXコルナですね。」

え?!なんか高いんじゃないか?プラハから1時間ぐらいだし、こんな値段になるはずないんだが...。チケットを受け取って、よーく見てみると、クトナーホラではない地名が書いてある。

「Náchod 」

明らかにクトナーホラではない。これでクトナーホラと読むのであれば、チェコ語はアルファベットによる記述を超えた超難解言語であると言わざるを得ない。でもクトナーホラと言ったのだから、もしかしたら経由地のことを示しているのかもしれないし、Náchod 市域内のクトナーホラという駅なのかもしれない(東京都区内みたいな)。

そのうち友人のT氏がやって来る。彼は私がおろおろしている間に、問題なくチェコ語でチケットを買うことができたようだ。T氏は私のチケットを見て、間違っているのではないかと指摘した。彼はボキャブラリーも私よりはるかに多いし、彼の言う事は信頼に足る。時間もないし善(?)は急げだ。早速、同じ窓口の係員に言い寄ろうとすると

係員:「ここはもう終わりだから」

と無常にも私の前でカーテンを下げ、奥に引っ込んでしまった。仕方ないので、他の窓口に行くと

係員:「そういうのはXX番の窓口に行ってね。ここでは訂正はできないから」

あー、元共産国家よ、やっぱこんなものなのかお前は。どこぞの市役所のようにたらいまわしである。またまた仕方ないので、係員の言うとおりに指定された番号の窓口に向かう。どうでもいいけど早くしないと予定している電車に乗れないんですけど。指定された窓口に行き

ま:「行き先間違っているんだけど」

と言うも、この係員チェコ語しかしゃべれん。先ほどの自信もどこへやら、私のチェコ語の微々たる知識では、この場面を乗り切ることはできそうにない。以下は意訳。

係員:「そういった場合は、一度払い戻しをしないといけないわね。この紙にサイン頂戴。」

紙を出されて、ある分を指差されてサインをしろとせがまれる。何も反論できるはずもないであろう私は言われるままにサインする。そして、

係員:「はい。じゃあこれが買った代金ね。それと、キャンセル料は10パーセント取るから。」

何ー!聞き間違えたのはそっちだろうが!俺はクトナーホラまでくれって言っただけなんだよ!それでキャンセル料とはどういうことなのだ~!いや、百歩譲って私の発音が悪かったんです。だから今回は勘弁して欲しいんですが~。

そんなチェコ語を言えるはずもなく、また電車の時間もせまっていたのでお金を受け取って切符を買いなおした。今度はT氏に買ってもらった。もう私にはチェコ語を話す自信は消えうせていた。

クトナーホラから帰った後、我々はなぜ

「Náchod 」

のチケットを渡されたのか分析をした。問題は私の発音にあったようだ。まず問題なのは「クトナー」の部分だ。クトナーホラはチェコ語で書くと

Kutná hora

であるが、私の発音は

「Kutoná hora」

だったのである。何が違うんじゃゴルァー!と思うかもしれないが、これは母音か子音かの発音の違いである。日本で書くなら正しい発音は

「クトゥナーホラ」

であり「ト」の部分は短く発音しなければチェコ人は理解できないのである。これは多分日本語で「あ」と「か」ぐらいの差がある。

では、なぜこれが原因で「Náchod」になったのか?

「Kutoná hora」を「kuto náhora」と分解しなおしてみる。そして「kuto」の発音が悪かったために、無視され後半部分だけを認識されたと仮定する。さらに後半部分の「náhora」について、「h」の部分はチェコ語の「ch」と勘違いされたのだろう。これらはチェコ語では独立のアルファベットであるが、両方ともハヒフエホの発音である。厳密には「ch」の発音はのどの奥から発音するものであって日本人には馴染みのないものだが。さらには、日本人は「r」の発音が下手なので、それをはっきり発音できず係員に「d」に勘違いされたと仮定する。すると

「Nahora」→「Náchod」!

わかったぞみんな!おれたちはとんでもない勘違いをしていた!キバヤシ張りの驚き声はどうでもよいとして、なんとも暗号解読みたいになってしまった。なんとチェコ語の難しいことよ。っていうか俺の発音が下手なだけか。

他の子音の例としては

「Středa(ストゥシェダ)」(水曜日)



「tři(トゥシ)」(3)

がある。最後の単語は別の意味でも難しい発音だ。この「ř」は本来「巻舌濁音ジ」という特殊な発音であるが、無声子音の前後は無声化して上記のようになる。このアルファベットも私が発音してもあまり通じない。私はよく指で3を作って発音したものだ。ちなみに濁音の「ř」も日本人には無理。私は10回チェコ人の前で練習して1回正解と言われるぐらいだが、間違った発音と合っている発音の違いがわからん。みんな「ざじずぜぞ」の「じ」に聞こえるんだが。最近はチェコ人ですらこれを発音できないとか。

じゃあ、できなくてもいいか~。というかできる以前にチェコを去ってしまったんですけどね。今回のチェコ訪問でまた「3」を練習しよう。

面白かったらクリックしていただけばと思います。1IPに対して1日1回有効です。
banner_02.gif人気blogランキングへ


コメント
この記事へのコメント
書いてます
まーらいおんさん、こんにちは。
クトナーホラへ行くとき、私たちは鉄道に乗るのが初めてだったのでかなり緊張しました。そしてもちろん「鉄道の窓口は英語がほとんど通じません」というガイドブックの指示どおり、わかる限りの単語をメモに書いてそれを読みあげる方法でトライしました。もちろんそんなものでは通じず、結局はメモを渡して無事切符を購入することが出来ました。
ちなみに先日ビザ取得のために(今頃・・・?)ウィーン行きの鉄道のチケットを買いに行きましたが国際線の鉄道の切符売り場のおばさんは英語で丁寧にいろいろと説明してくれました。しかもニコニコして感じがよかったです!幸せでした。
2005/06/20(月) 16:00:46 | URL | しのぶ #l4KbC9sM[ 編集]
しのぶさん、

そうなんです。紙に書いていくのが一番間違えなくて良いのです。私もこれ以降そうしました(爆)。しのぶさんの方がよっぽどチェコ生活を心得ていらっしゃると思います~。国際線の場合は話せる方が多いでしょうね。対応は人それぞれといえど、親切な係員でよかったですね!これからもしのぶさんのチェコ生活が楽しくなるように祈っております。(たとえ無愛想でもめげないで下さい~)

2005/06/20(月) 19:55:32 | URL | まーらいおん #aIcUnOeo[ 編集]
クトナーホラ戦記、興味深く読ませていただきました。
それにしても、そんな「Nachod」なんて駅がなければ、間違えた切符を渡されることはなかったのですよね・・・ちゃんと駅名があるなんて・・・罠!?
「巻き舌で濁音のr」というのも、まーらいおんさんにその存在を教えていただいてから、どんな音なんだろうと口の中でやってみていますが、さっぱりわかりません~。チェコ人ですら発音できないとはおそるべしチェコ語。
2005/06/20(月) 21:56:10 | URL | mf #cJZJYCBs[ 編集]
mfさん、

そうか罠だったのか!しかもこのNachodポーランド国境に近いらしくかなり遠いっス。巻舌濁音、私もわからないっす。チェコでチェコ人の発音を録音するか....。あ、チェコ語のCDがあったんだ!今度UPしてみようと思います。
2005/06/21(火) 04:38:00 | URL | まーらいおん #aIcUnOeo[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック